ホビー事業部の開発ブログ

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【SW】拘りご紹介コラム第5回 約48.2㌢のキットに詰め込むもの

いつもお世話になっております。

ホビー事業部宣伝担当のヤス男です。

 

 

PG 1/72 ミレニアム・ファルコン拘りコラム第5回です。

 

 

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約48.2㌢のキットに詰め込むもの

 

下記画像は、ミレニアム・ファルコンのディテールでも最も見どころ豊富なマンダラ(エンジン上の扇型の部分)と呼ばれている部分です。ミレニアム・ファルコンはあらゆる角度から撮影できたのですが、機体前方から撮影するシーンによってはマンダラをガバっと取り外してボディ後方から支持棒を差し込んで固定しました。この時、発光するエンジン部分も丸ごと外すほか、マンダラの下面側のボディ外周パーツも外しました。

 

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第5回を重ねた当ブログでは、キットがいかに撮影用モデルのディテールを再現しているのか、ということを述べてきました。実は、「PG 1/72 ミレニアム・ファルコン」は、撮影用モデルと同様にこのマンダラも取り外し可能になっているのです!

…理由は別にちゃんとあるのですが…

 

 

とういことで、ここからが本題です。撮影用モデルのマンダラや下面側のボディ外周パーツは六角穴の皿ネジでボディに固定しました。この皿ネジにより着脱可能にしたのです。

下記画像はマンダラの下面側なのですが、青矢印の場所にネジがあります。

 

 

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4カ所に等間隔でネジ留めしたのですが、画像の左隅をクローズアップすると、

 

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青矢印を見て頂くと皿ネジが留められているのが分かると思うのですが、そのすぐ横、キミドリ矢印にはありません。「だから!何!」という声が聞こえてきますが、キミドリ矢印にはネジ穴はあるのですが、ネジはないのです。

等間隔で4カ所にキッチリとめられている皿ネジと、そのすぐ脇にある余ったネジ穴…思わず色々な妄想が浮かんでは消えていきます。

もちろん、キットはこの物語をそのまま形状化しました。

 

 

話が前後しますが、マンダラには6つの排気口が配置されています。排気口には細かいスリット形状がはまっているのですが、実際の撮影用モデルには下記の素材が利用されました。

 

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クールシェードと呼ばれるもので、ガラス戸など開口部に利用する遮光素材でした。薄く細長い金属板を金属線で編み込んだような構造になっています。一見、柔らかそうにも見えますが、かなりシッカリした素材です。有名なところではタイ・ファイターのソーラーパネルやAT-STなどにも利用されました。

 

そして、こちらがキットのエッチングパーツです。

 

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全ての部品がクールシェードを利用している部分です。

排気口のスリット形状は、プラパーツとエッチングパーツの選択式になっており、エッチングパーツを選ぶと、排気口の中にある送風ファンが見えるようになっています。シャープなエッチングパーツと相まって、中に見える送風機の再現性に「ブルッ!」ときますが、今回特にご紹介したいのはこちらです。

 

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コクピット後ろの側面部なのですが、矢印のような穴が等間隔であいていて、その上をスリット形状が覆っています。コクピットチューブのほぼ真上から真下まで続く印象的なディテールです。この画像はプラ部品のCAD画像で、穴の上にスリットパネルがある状態を部品化しています。さらに、この部品を3つに分けることで、すべての円形穴を絶妙に再現しました。

 

ここに利用するエッチングパーツがこちらです。

 

 

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このエッチングパーツを穴のみの部品の上に配置するわけです。

 

話を少し戻しますが、エンジン上の排気口に送風ファンがあるのは、デザインというより物理的理由です。撮影用モデルのミレニアム・ファルコンは、ハロゲンランプでエンジン噴射口を光らせており、発光時は高熱になるため排熱が必要でした。その排熱のため、排気口に送風ファンが設置されているのです。

ご紹介しているコクピットチューブの穴も同様の役目を果たしたと思われます。コクピットの奥には電球が仕込まれ、コクピットの背面壁やコンソールが光る構造になっていました。そのため、電球の発熱をこの穴から排熱したと思われます。撮影用モデルが出品された展示会などでここをジックリ見ると、何とも言えない落ち着かない気持ちになります。少しよれたスリットの金属感も相まって、いかにもくたびれた宇宙船、という静かなオーラがあり、心がざわつくのです。

 

 

 

 

最後にご紹介するのが、「膨大」水転写式デカールです。 

水転写式デカールはボディの塗装表現をデカール化したものと、コーションマーク的なデザインマークを網羅しています。デザインマークは、基本的に撮影用モデルに貼られたデカール(流用パーツならぬ流用デカール)を用意して意匠化しました。これは、デザインが正しく意匠化されただけなく、再現が可能な限り同一スケールで製作されたことを意味します。

 

元の流用デカールは、トラックや自動車、レースカーをはじめ、戦闘機、鉄道模型、数は少ないのですが戦車もあります。重箱の隅を突くネタになりますが、ミレニアム・ファルコンの撮影用モデルには実に多くの日本製キットが利用されています。全体からみた使用シェアも相当高いのですが、デカールはほぼ海外製。日本製プラモデルは数枚にとどまります。

 

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上記は、キットの水転写式デカールの一部です。主にデザインマークを集めている場所なのですが、想像していたより遥かに多く、撮影用モデルはこんな膨大なデカールが貼られていたのかと驚かされます。

 

 

ミレニアム・ファルコンのデカールといえば、コクピット上の三角形マークが有名です。上記画像では左上に2セットありますね。

 

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撮影用モデルでは異なる4種類のデカールを組み合わせて作られました。特に三角形の部分は、まず黒色のデカールを貼り、その上に赤色のデカールを重ねているのですが、キットデカールも同様の要領で製作されました。なお、キットデカールの三角形の上の辺はたった5ミリ弱です。

 

 

スター・ウォーズの撮影用モデルは、製作スタッフの遊び心が隠されていることで有名です。ブロッケード・ランナーのコクピットには女性のピンナップポスターが貼ってあったり、スーパー・スター・デストロイヤーのあの艦橋群の中にはミリタリーフィギュアがこっそり隠れて手を振っていたりします。「PG 1/72 ミレニアム・ファルコン」では、こちらのデカールがあります。

 

 

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そう、宇宙最速の安全運転です。マニアの間では有名だったりするのですが、絶妙な位置にはってあるので、製作スタッフのセンスの良さに舌を巻きます。ちなみに、「安全運転」の下の数列は、撮影用モデルの数字と同じ並び。元デカールは、機関車用の汎用デカールです。

 

しかし…

当時の映画製作スタッフは、なぜここまで作り込んだのでしょう。膨大なディテールに加え、前回ご紹介したダメージ痕の中の「見えない」ゴチャメカ、第2回目にご紹介した穴メカの中の「見えない」構造部品、そして、膨大なデカールの中には、小さくて一見では気づけないものも多いのです。繰り返しになりますが、製作スタッフの情熱やプライドに加え、スタッフにここまでさせたミレニアム・ファルコンには何かあると思うのです。

また、その「何か」が40年の時を経て「PG 1/72 ミレニアム・ファルコン」をここまでの商品に昇華させたと思うのです。撮影用モデルを見ていると製作スタッフの異様な熱量を感じずにはおれないのですが、撮影用モデルに存在するあらゆるものを最大限の努力で約48.2㌢のキットに詰め込むと、その「熱量」や「何か」の一端がお届けできるような気がするのです。

 

 

                      撮影用モデル研究家 鷲見博

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DATA

 

PERFECT GRADE 1/72 ミレニアム・ファルコン

発売日:プレミアムバンダイ ホビーオンラインショップにて8月28日より順次発売予定

価格:43,200円(税8%込)

発売元:バンダイホビー事業部

 

STAR WARS PLASTIC MODEL - バンダイ ホビーサイト

 

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