いつもお世話になっております。
ホビー事業部宣伝担当のヤス男です。
前回のミレニアム・ファルコンの記事について、大変多くの反響をいただきました。
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【SW】拘りご紹介コラム第1回 至高の「ミレニアム・ファルコン」 - ホビー事業部の開発ブログ
今回も引き続き、企画開発にあたり多大なるご協力をいただいた撮影用モデル研究家の鷲見博氏に、「PG 1/72 ミレニアム・ファルコン」の拘りの凄さを解説していただきます。
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ミレニアム・ファルコンの魅力あるメカ
ミレニアム・ファルコン開発ブログの2回目は前回に引き続きディテールの再現性の高さをお伝えするとともに、ボディ下面の穴メカ(装甲板が無く機体内部のメカが見えている部分)についてご紹介したいと思います。
前置きとして、
「PG 1/72 ミレニアム・ファルコン」は「スター・ウォーズ/新たなる希望」の撮影時に製作された撮影用モデルを基にキット化しています。この撮影用モデルは全長およそ1.7㍍の大型モデルで、「新たなる希望」では全編を通して利用されたのに加え、「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」では宇宙ナメクジの洞窟やクラウド・シティへの着陸シーン、さらに「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」では、クライマックスのデススター突入時にレーダーをトンネル壁に激突させるシーンなどに利用されました。ちなみに劇中映像で最もディテールがクリアに見えるのは、「帝国の逆襲」でクラウド・シティから落下しそうなルーク・スカイウォーカーを助けるシーン。宙づりになるルーク・スカイウォーカーの下からミレニアム・ファルコンがグッと迫るのですが、スローな動きに加え画面一杯に大写しになるため資料性の高いシーンになっています。
なお、ミレニアム・ファルコンの最大の撮影用モデルは「帝国の逆襲」で製作された約4.5㍍の撮影用モデルで、画面に映る部分だけが製作されました。上記と同じ宙づりになるルーク・スカイウォーカーを助けるためランド・カルリジアンがミレニアム・ファルコン上面のハッチに出てくるシーンで利用されました。
今回キット化した1.7㍍の大型モデルは、「新たなる希望」では、ランディングギアが3脚で製作されましたが、「帝国の逆襲」になる際、5脚に改修されています。上記写真でいうと、黄色の着色エリアにランディングギアの収納ボックスが新たに設置され、キミドリ枠の穴メカは小さくしたうえ、外側に移動されました。そのため現存する撮影用モデルは5脚の状態で、3脚の状態は写真資料しか残っていません。長くこの部分の詳細は不明でしたが、公式な資料として『スター・ウォーズ・クロニクル エピソード4,5,6/ビークル編』(学研)に詳細写真が掲載されました。
上画像は同書掲載の写真と同様のアングルにしたものですが、ディテールの再現性の高さが分かって頂けると思います。特に、キット開発に当たっては装甲板に隠れた部分の再現にも力を入れました。穴メカの中には多くの流用パーツが配置されているのですが、装甲板の下に隠れて全体像が見えないものが多いのです。また、パーツとパーツが重なり見えなくなる部分も流用パーツから撮影用モデルの形状を解析しました。
穴メカをアップでみると・・・
装甲板に隠れている主な部品を配置すると以下のようになります。
これらの発見した流用パーツから見えないエリアの形状を知ることが出来るのですが、この穴メカには撮影用モデルの中でも珍しい特徴があります。それは、矢印の戦車ボディの上に別の戦車ボディが重なる重層構造になっている点です。
アングルを変えると流用パーツの重層構造の美しさが伝わると思うのですが、デザイン的に重要だと思われるのが、上側に重なるボディ下に多くの流用パーツやパイプが引き込まれることでメカニカル感が強調されている点です。
なお、パーツの再現性について付け加えると、先ほど矢印で示した戦車ボディは以下のような形状です。
この2枚を比較すると形状再現性の高さが分かると思うのですが、この流用パーツは1回目の記事でご紹介したパンター戦車ではなく、ドイツ軍の重戦車ティーガーII系のボディを利用しています。上記のボディ形状を持つ戦車は、様々な模型メーカーからキットが発売されていたのですが、ファルコンに流用された模型メーカーからは、ヤークトタイガーとキングタイガー(砲塔違いもあり)が発売されていました。
この2キットを比較すると、形状はほとんど同じなのですが、付属部品を接着するためのダボ穴(青枠)に差異を見ることができます。2枚上の画像を見て頂くと、ファルコンに流用されたキットはキングタイガーだったことが分かって頂けるでしょう。バンダイキットのディテールは元の流用パーツを特定できる情報量を持っていると思います。
上記でご紹介した重層構造は上下方向の重なりだったのですが、実は左右方向にも重層構造がみられます。
穴メカの内側壁には、キミドリ矢印のH鋼構造材と、青矢印のラティス構造の構造材が2重で配置されているのです。特に青矢印の構造材はかなり奥に配置されているため映っている写真が少ないのですが、僅かな資料から元キットを特定して形状を作成しました。
以下は解析した3パーツです。この3パーツが重なることで左右方向のメカニカル感がグッと高まっています。
こうして完成したのが以下のキット部品です。
この部品をボディに組み込むと、縦方向と横方向の重層構造がさらに存在感を増してメカニカル感が高まります。
反対側の穴メカについても、
上下方向と左右方向の重層構造が美しいです。特に中央部にF1のエンジン部品があるのですが、そのエンジン部品から4本のパイプが飛び出し、上側を覆う板状部品を超えてそれぞれの位置に引き込まれていく様がメカニカル感を高めるとともに美しいディテールを形成しています。
バンダイ ホビーサイト「PG 1/72 ミレニアム・ファルコン」の記事でも書かせて頂いたのですが、こうした穴メカの細かい形状は劇中映像にはほぼ映りません。特にH鋼の奥にあるラティス構造材に至ってはその存在自体があまり知られていないと思います。
しかし、「新たなる希望」の特撮スタッフはここまで作り込んでいるのです。
個人的には、特撮スタッフの情熱と意識の高さ、そして目の前で完成していくファルコンの魅力がここまで作り込ませた、と思っています。
撮影用モデル研究家 鷲見博
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撮影用モデルや「PG 1/72ミレニアム・ファルコン」に込められたスタッフの情熱が伝わってきますね!
本キットを組み立てることで、ぜひその熱い想いを追体験していただけますと幸いです!
ご注文はプレミアムバンダイからお願いします。
PVも公開中です!
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DATA
PERFECT GRADE 1/72 ミレニアム・ファルコン
発売日:プレミアムバンダイ ホビーオンラインショップにて8月28日より順次発売予定
価格:43,200円(税8%込)
発売元:バンダイホビー事業部
STAR WARS PLASTIC MODEL - バンダイ ホビーサイト
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