文章:鷲見博
感嘆詞や形容詞を山のように口にしたくなりますが、無用でしょう。
言葉不要の破壊力です。
まずは落ち着いて。
スター・デストロイヤーの撮影用モデルは大きく分けると2種類あり、今商品は大型サイズのものをキット化しています。この撮影用モデルは『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(EP5)の撮影時に製作され、その大きさは同シリーズの中でも最大級で全長が約2㍍半にも及びます。スター・ウォーズに限らず、ビークルや宇宙船を商品化する上で、もっとも重要なのは全体バランスが正しいことと、細部ディテールが可能な限り正確に再現されていること。
なにわともあれこちらをご覧ください。
CAD画像を『スター・ウォーズ・クロニクル エピソード4,5,6/ビークル編』学研(2016)に掲載された写真のアングルに合わせました。上が152ページ掲載写真で、下が151ページ写真です。もし、同書をお持ちでしたら本片手に全体形状の再現性をご確認頂ければと思います。
こちらは同書150ページの正面像です。
スター・デストロイヤーの船体は二等辺三角形のシンプルな矢じり形状で、船体形状を決める寸法要素は二等辺の長さと全幅(エンジン部の全幅)、高さ(艦橋を除く)だけで決まります。実にシンプルです。
この内、全幅と高さについてはとても有効な資料があるため比較的検討しやすかったのですが、二等辺の長さについては導き出すのが難しい。
そこで、撮影用モデルに注目すると、船体の最外周部(二等辺部)に3㍉から5㌢程度の流用パーツが途切れることなく先端から後端まで続いているではありませんか。それではと、撮影用モデルの流用パーツを解析、すべての部品を一つずつ正確に並べて二等辺の長さを測長しました。当然ながら2㍍を超えています。
スター・デストロイヤーを真上や真下から撮影した写真は少ないのですが、最も全体像を確認しやすいのが劇中映像で、EP5のDVDなどの映像ソフトをお持ちの方は 35分過ぎの映像をご確認下さい(スター・デストロイヤー同士が追突するシーン)。キットの全体形状が寸分違わぬ形状に至っているのが分かって頂けると思います。
もちろんエンジンの全幅部や高さ部分についても、利用された部品を積み重ねて採寸し、資料との整合性をはかりました。
さらに付け加えると、二等辺寸法の精度を高めるため、2重の検討をおこないました。スター・デストロイヤーの船体は、矢じり形状が上部と下部で分かれており、その間には船体より奥まったトレンチ(溝)部が挟まれています。トレンチ部も先端から後端まで製作して測長し、それぞれの寸法から全体像を検討しました。写真だけでは構造を把握しにくい部分は、実際に部分モデルを製作して構造検討しました。
こちらは『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』の宣伝用ポスターに多用されたもの。ポスターではスター・デストロイヤーの前方にデス・スター2が不気味に浮かんでいました。
一方、ブリッジや階段状の艦橋部など、スター・デストロイヤーを構成する各面についても、それぞれに流用パーツを配置して形状を割り出し、それぞれの寸法を得ました。
ズッパリ言うと、スター・デストロイヤーの撮影用モデルに配置してある、あらゆる流用パーツを配置してみて寸法検討したのです。なお、流用パーツの解析率は100%に近いです。ブリッジや階段状の艦橋部は多くの部品が重複して配置してあるため、その分、高い寸法精度を実現できたでしょう。
第2回に続きます。
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・「1/5000 スター・デストロイヤー[ライティングモデル]初回生産限定版」
2019年8月発売予定
■内蔵LEDが楽しめるクリア外装パーツが追加で付属。(※2)
■プロモデラー「どろぼうひげ氏」制作によるクリア外装パーツ用の特別冊子が追加で付属。(※3)
■パッケージは初回生産限定仕様の大判パッケージ(※4)
(※2)(※3)はリピート生産分には付属しません。
(※4)は、リピート生産分から通常パッケージとなります。
2019年8月発売予定
※こちらに記載の情報は2019年2月現在のものです。
※画像は試作品になります。
※商品は記載の内容と多少異なる場合があります。
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