ホビー事業部の開発ブログ

プラモデルと日夜格闘する、BANDAI SPIRITS ホビー事業部の開発スタッフによる公式ブログです。

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【SW】拘りご紹介コラム第4回 深淵なる!?ディテールの世界

いつもお世話になっております。

ホビー事業部宣伝担当のヤス男です。

 

 

PG 1/72 ミレニアム・ファルコンをご紹介するこのシリーズも早くも第4回です。

お盆が明ければいよいよ発売間近!!

お楽しみに!

 

 

 

↓ 前回までの記事はこちら

 

【SW】拘りご紹介コラム第1回 至高の「ミレニアム・ファルコン」 - ホビー事業部の開発ブログ

 

【SW】拘りご紹介コラム第2回 ミレニアム・ファルコンの魅力あるメカ - ホビー事業部の開発ブログ

 

【SW】拘りご紹介コラム第3回 グラマラスなボディライン!? - ホビー事業部の開発ブログ

 

 

 

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深淵なる!?ディテールの世界

 

いきなりですが、以下のCAD画像をご覧ください。

 

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こちらはミレニアム・ファルコンのディテールをアップでとらえた画像なのですが、どこの部分かといいますと…

 

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矢印の部分でした。口ばし(機体前方の三角形)の側面部なのですが、2枚の画像を見比べて頂くと、ご紹介したディテールの上にパイプ部品や別の部品がかぶさっているのが分かると思います。

 

 

では、こちらはどうでしょうか。

 

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ミレニアム・ファルコンのディテールと同じ形状が見えますが…

 

実は、このディテールはYウイング・スターファイターのクローズアップ画像です。Yウイング・スターファイターを天地逆にして、翼の真下からボディ側面を見ています。ミレニアム・ファルコンと同じディテールが採用されているのですが、単に同じ流用パーツを利用していた、という訳ではなく、多数の流用パーツを組み合わせたものを複製して利用しています。

 

スター・ウォーズ モデリング アーカイヴ』(モデルグラフィックス編集部/編、うさぎ出版/刊行、大日本絵画/販売)でも書かせて頂いたのですが、スター・ウォーズの撮影用モデルは、流用パーツでディテールを作るだけでなく、多くの流用パーツを細かく加工して組み合わせ、存在感の強いパネルを製作して基本部品にしています。同書の中では、「集合メカパネル」とご紹介しました。ミレニアム・ファルコンとYウイング・スターファイターに採用されたディテールは、集合メカパネルを複製し、それを小片にカットして利用しています。オリジナルは以下の流用パーツから組み上げられました。

 

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この集合メカパネルは主にミリタリー関係の部品を利用しているのですが、中には蒸気機関車のピストンやロケットのノズルなどもあります。この写真はあくまで利用された流用パーツを、撮影用モデルに近い形で並べたものですが、当時のバンダイ製キットもキッチリ流用されています。ミレニアム・ファルコンに利用されたのはこのパネルの右下隅の部分です。

 

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黄土色の部品はキャタピラなのですが、キャタピラは短く加工して4カ所に配置してあります。

 

上記の集合メカパネルは、ミレニアム・ファルコンには大きく3カ所利用されました。まずは、一番目立つボディ上面・後方の穴メカ(装甲板が無く機体内部のメカが見えている部分)です。

 

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この部分を流用パーツの写真と並べてみますと…

 

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この穴メカでは、外装の装甲板で隠れている部分があるのですが、隠れて分からない部分はこちらで見ることができます。

 

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機体前方中央部の口ばしに挟まれた部分です。ノーズと呼ばれている部分の裏側です。上面にも下面にも同じパネルが利用されています。これをキット部品でご紹介するとこのようになります。

 

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左がノーズ裏用で、右が穴メカ用です。それぞれに場所に収まるようにカットされていたり、新たな部品が加えられたりしています。この集合メカパネルはミレニアム・ファルコンやYウイング・スターファイター以外にもスター・デストロイヤーやデススターサーフェイスにも利用されています。集合メカパネルは、今回ご紹介しているものの他にもXウイング・スターファイター用など、魅力的でキャッチーなデザインのものが多いのですが、その辺りについてご興味のある方は『スター・ウォーズ モデリング アーカイヴ』を読んで頂ければ幸甚です。

 

 

 

 

ところで…   と、話を全く変えてしまうのですが、

「PG 1/72 ミレニアム・ファルコン」は、レーダー脇のダメージ痕を再現しています。このダメージ痕はミレニアム・ファルコンのトレードマークとも言えるもので、キットでは、その形状を大いなる情熱をもってトレースしています。そして、撮影用モデルの佇まいを絶妙に映し出しました。

 

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PVの 3:22 あたりで撮影用モデルの画像が出てくるのでぜひ比較していただきたいのですが、外装パネルが千切れてめくれた様子と、その下にあるボディ表面がすり鉢状に凹んで穴になっている様子が絶妙に表現されています。

 

PG 1/72 MILLENNIUM FALCON / ミレニアム・ファルコン 商品紹介PV(完全版) - YouTube

 

 

キットでは、レーダー脇を含めて3カ所のダメージ痕を再現しているのですが、今回特にご紹介したいのが、ボディ下面にあるダメージです。

 

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ここのダメージ痕は岩石などがボディを擦って出来た傷なのか、外装パネルが内側にひしゃげて傷が前後方向に長細く開口しています。また、その周辺にも同じ方向の傷が連動してあります。実は、撮影用モデルには、長細い開口ダメージの中に機体内部にあるメカがシッカリと配置してあります。展示会で撮影した写真に写り込んでいたのですが、初めてこの事実に気づいたとき、とても信じ難かったです。「見えないのに…」などは陳腐な感想で、撮影用モデルのオーラとともに、製作スタッフの測り知れない情熱やプライドを感じました。もちろん「PG 1/72 ミレニアム・ファルコン」でもその内部メカを再現しました。

 

こちらです。

 

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そうです、冒頭からご紹介している「集合メカパネル」がダメージ痕の中のゴチャメカに利用されているのです。開口穴からはチラッとしか見えていませんが、この集合メカパネルと確認できます。なお、暗くて分かりにくいのですが、『スター・ウォーズ・クロニクル エピソード4,5,6/ビークル編』学研(2016)の58ページの写真に薄っすらと写っています。

 

実は、この集合メカパネルは今回ご紹介した以外の場所にも小片に加工されて数カ所で利用されています。キットが発売されましたら、製作途中の一休みにぜひお探しください。

 

                      撮影用モデル研究家 鷲見博

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ご注文はプレミアムバンダイからお願いします。

 

 

p-bandai.jp

 

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DATA

 

PERFECT GRADE 1/72 ミレニアム・ファルコン

発売日:プレミアムバンダイ ホビーオンラインショップにて8月28日より順次発売予定

価格:43,200円(税8%込)

発売元:バンダイホビー事業部

 

STAR WARS PLASTIC MODEL - バンダイ ホビーサイト

 

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